さて、前回に続き昨年12月13日(日)に行った『The Economist』勉強会のレポートを掲載しますね。
それでは今回は、『Clear thinking needed』という記事を読んでいきましょう。
※上記リンク先に原文あり。


『Clear thinking needed』要約

1.人間が作り出した危険な気候変動に対して現在の政策は削減に対して寄与していない。
欧州、米国、中国といった地域での風車と太陽光パネルは、炭酸ガスの排出量を減らすことに貢献できていない。

2.エネルギーテクノロジーを増やす為の研究が最も必要。
その為の3つの要素
①大きなリスクを減少させるための資金投資は理に適っている。
②現在の気候政策は、多大なコストがかかっているがエネルギーの産出は少ない。例えば、風車や太陽光発電、バイオ燃料に多大なコスト(補助金)を掛けた割に、目標値に届いていない。
③気候変動に対する手段の一つは、炭素価格の様に費用を発生させること。
ただ、これまでは価格が低過ぎて機能しなかった。今後は、修正が必要。

3.地球工学的アプローチが必要。
新たな考え方として、地球を人為的に冷却することを調査するなど、地球工学的なプロジェクトを進める必要がある。

といった内容で以下議論しました。

1.これまでの気候政策の誤りとは何か?

2.今後の気候政策は何に対して最も資金を投下すべきか?

3.炭素価格制度はこれまでどの様に機能していたか?また今後、制度を効果的に運用するためには何をなせばよいか?
 

<これまでの気候政策>
1.非現実的な目標設定。
1990年水準から25%減らす温室ガス削除目標。
京都議定書でカナダは6%削減を表明したが実際には24%増加。
2009年のコペンハーゲンで日本は25%削減を掲げたが放棄。
炭酸ガス排出削減を約束するも実現できず。高コストをかけて無意味なほどわずかに削減。
2.効率の悪い再生可能エネルギーに補助金を注ぐ。

<今後の気候政策>
1.気候の経済への影響。
降雨量が増えれば、水力発電や農業生産には好都合だが、決壊や広範囲での洪水を引き起こすため道路設備には好ましくない可能性。

・高潮による沿岸部の被害。
・農業、漁業、観光の生産性に対するマイナス影響。
・長期的な気候の悪化と異常気象の発生による、人口移動と紛争が発生するリスク。
・海面の上昇と洪水被害の悪化により生じるコスト。
・気候変動の影響緩和、適応に向けた支出の増加による財政状況の悪化。
・エネルギー価格の上昇、投資の増大など炭素排出を削減するために伴うコスト。
・一部の国では食料その他の輸入の増加に伴う財政圧迫。


以下はプラス面
・気候変動の影響緩和のスキームによって新しい収入が生まれる可能性。税に依存しない新たな産業の創出の可能性。


2.再生可能エネルギーに補助金を出すのではなく、研究開発を通じてグリーンエネルギーのイノベーションに専念すること。


3.COP20開催時に世界銀行グループのジム・ヨン・キム総裁は、次のCOP21において下記の包括合意を目指すように訴えたそう。
・全締約国に対し、炭素価格制導入
・化石燃料の補助金徹底
・再生可能エネルギーを促進する環境づくり
・極端な暴風雨にも耐え得るプロジェクトへの投資
・経済転換により効果の見込まれるプログラムやプロジェクトに対する需要は高まる。こうした目標は、官民や内外の投資家に対して、クリーンなエネルギーや交通システム、持続可能な農業・林業、資源を有効活用した新たな製品に対する長期投資への需要と収益性に強力なメッセージを送ることになる。
 

<炭素価格制度>
1.炭素税を課すことにより、次のような効果が期待できる。

・二酸化炭素排出量の減少省エネルギー技術開発の誘引
・課税金額が大きいほど化石燃料需要の抑制につながり、削減量は大きくなる。また省エネルギー技術への投資や開発意欲も向上すると考えられる。
 

<メリット>
・削減量が大きいほど支払う炭素税が減るので、企業には削減技術開発を促進するインセンティブが強くなる。
・政府は炭素税による税収が得られるため、それを使ってさらに環境対策ができる。
・化石燃料の値段が上がるため、使用量を抑えられる。

<リスク>
・炭素税により確実に企業や家庭の負担が増える。
・コスト削減のために企業が環境税のない海外へ移転し、海外で多くの温室効果ガスを発生させ、結果的に削減にならない可能性。
・企業の負担を増大させることで、国際競争で不利になる可能性。